今回は熊本県球磨郡多良木町にある「多良木町埋蔵文化財等センター 黒の蔵」で、
2025年9月に多良木相良氏遺跡が国の史跡に指定されたのを記念して開催されている
企画展「国史跡 多良木相良氏遺跡展」を見学に訪れた。

多良木相良氏は、鎌倉時代から明治維新まで約700年にわたり、主に肥後国人吉・球磨地方を治めた相良氏の祖である。
多良木相良氏遺跡は、鎌倉時代前期に球磨郡に下向した西遷御家人、鎮西相良氏の菩提寺である青蓮寺と、居館もしくは川湊関連施設と推定される蓮花寺東之前遺跡からなる遺跡である。
球磨郡に入部した西遷御家人の地域支配や開発の様子を示すとともに、現存する寺社や仏像、豊富な文字史料等と発掘調査の成果から、相良氏の惣領、多良木相良氏の動向を具体的に知ることができる重要な遺跡群である。
企画展では、国史跡に指定された遺跡の説明や出土物などが展示解説されている。
企画展を見学した後は、多良木町埋蔵文化財等センター 黒の蔵から車で1分ほどの場所にある青蓮寺に行ってみた。
青蓮寺は1295年(永仁3年)に多良木相良氏三代頼宗が初代頼景菩提のため創建したもので、青蓮寺阿弥陀堂(国指定重要文化財)の背後には、青蓮寺古塔碑群(熊本県指定史跡)があり、九州唯一の鎌倉時代の壇上積基壇が現存している。
青蓮寺阿弥陀堂 2度目の来訪である。
青蓮寺古塔碑群は、相良頼景をはじめとする相良氏一族の供養塔や住職の墓石で、五輪塔78基、石塔婆22基が立ち並んでいる。
青蓮寺古塔碑群
青蓮寺を見学した後は、車で2分ほどの場所にある蓮花寺東之前遺跡に行ってみた。
蓮花寺東之前遺跡は、堀が13世紀後半、土塁が15世紀後半から16世紀前半に造られた、球磨川と堀と土塁により区画された施設で、川湊と考えられる石積護岸が検出されている。
遺跡の規模は小さいものの、白磁四耳壺・水注等の当時の高級品が出土することから、多良木相良氏による球磨川水運を利用した物流の拠点施設の可能性がある遺跡と考えられている。
蓮花寺跡
蓮花寺跡古塔碑群
蓮花寺跡から100m程東側には相良氏の祖ともいわれる相良頼景の館と考えられる場所があり、土塁の一部が残っている。
写真右側を流れる球磨川 相良頼景館跡の木柱が立っている。
蓮花寺跡古塔碑群は、熊本県人吉市出身の漫画家である、緑川ゆきさんの夏目友人帳 漆のオープニングに登場する聖地の一つのようだ。
また、今回訪れた遺跡群は日本遺産「相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~日本でもっとも豊かな隠れ里-人吉球磨~」の構成文化財の一つにもなっている。
【散策地データ】
名称:「多良木町埋蔵文化財等センター 黒の蔵」
※国史跡 多良木相良氏遺跡展 10月1日(水) ~ 11月30日(日)
所在地:熊本県球磨郡多良木町黒肥地4282
形態:郷土博物館
開館時間:9:00~17:00
入館料:無料
休館日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
駐車場:有(無料)